なんか周りが散々騒いだ後に書くのは少し気が引けますが、ガンダム最新作について。
11月に公開が決まった『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』。
物語は『機動戦士ガンダムUC』
で描かれた「ラプラス事件」の直後を描く作品です。連邦軍の中でビスト財団を快く思わない勢力が開発したユニコーンガンダム3号機「フェネクス」を巡る物語。フェネクスが最初のテストでユニコーンガンダム2号機「バンシィ」と演習を行った際に暴走し、自らの母艦を沈めて行方をくらませたのはダイバーシティ東京の「ガンダムフロント東京」に設置されていた映像施設ドームGで公開された映像をご覧になった方はご存知だと思いますが、物語はその後に件のフェネクスを破壊もしくは奪取しようとする各勢力の暗闘を描いた内容になると思います。さて、そこで話題になっているのが主人公機の「ナラティブガンダム」。
このMS、作品HPでは「νガンダム以前のサイコフレーム試験機」と紹介されており、ファンの間では「νガンダムのプロトタイプだとしたら、存在自体がおかしい。νガンダムは建造途中でサイコフレームを織り込んだのでプロトタイプなんて存在しない」と議論紛糾な機体となっておりますが
実はνガンダム以前にサイコフレームを搭載したガンダムは存在するんです
なんて書いたら「はぁ?!」って言われそうなんですが、往年の『ガンダム・センチネル』ファンでこの本

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でも、そんな最新テクノロジーをアナハイムがただ製造しただけって思います?
『逆襲のシャア』以前のネオジオンの状況についてはこの本

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還(14) (角川コミックス・エース)
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「いきなり取り付けて性能があがりました」なんてお気楽な話は、こと技術の世界ではあり得ません。
これだけ革新的な技術であるならば、アナハイムは独自にテストをしていたはずですし、そうでなければ「シャアの叛乱」のたった3年後(実際の「UC計画」が水面下でスタートしたのは「シャアの叛乱」終結直後と思われます)にフルサイコフレームのMSを実働状態にはできるないでしょう。
そこまで考えると「ナラティブガンダムがνガンダム以前にサイコフレームをテストした機体」というのは辻褄が合っています。「μ」と言うコードはアナハイム・ガンダムの中でのコードネームで、実際の命名が異なっているのは他のアナハイムガンダムでも行わていました。
γガンダム・・・リック・ディアス
δガンダム・・・百式
ηガンダム・・・レイピアI
Θガンダム・・・ZZガンダム
ιガンダム・・・S(スペリオル)ガンダム
κガンダム・・・Σガンダム
などですね。
設定のナラティブガンダム素体を見ても、フレーム以外はコクピットブロックを含めあり合わせのパーツで構成されており、フェネクス討伐にかなり慌てて設えた事が伺われます。既存の試作機にνガンダムやユニコーンガンダムの予備パーツを組み合わせて無理やり仕立てた感が有り有りですから。基本的にナラティブガンダムは外部装備を装着してこそ、ようやくフェネクスに「対抗可能な可能性がある」程度の性能なのでしょう。そんな機体を有効に使う為にジェスタを3個小隊も併せて投入するのも、サイコフレームを使わずになんとかフェネクスを押さえこむには必要な戦力なのかもしれません。
まあ、ともかくも頭っから否定してかかるのではなく、他の資料も幅広く漁っておけば新しい作品もより楽しめるのではないでしょうか?と言う僕の考えですけど、あまりにも「正史オンリー」だと折角の新作も像が歪んで見えてしまう事もあるので、そこは「まあそんな事もあるだろうな」的に捉えて、柔軟に受け止めるのが作品を楽しめる方法だと思います。どうしても納得できないなら、幅広く資料を漁ってみる事。思わぬ所に色んなネタが転がっています。
『ガンダムNT』では「サイコフレームの危険性」についても描かれるとの事。考えてみれば宇宙世紀100年以降、サイコフレームを使ったMS
は登場せず、擬似人格型AIやバイオコンピューターがサイコニュと連動するシステムの方が研究されるようになります。その「なぜ?」が解き明かされる(UCで何となくは描かれていましたが)事を楽しみに11月の公開を待ちましょう。
と言う訳で『ガンダムNT 』を観る前にここは押さえておこう的な予習講座を書いてみました。